介護保険とは? 申請方法から介護サービス利用までの流れ

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40歳以上の方は介護保険料を納めなければいけないので介護保険という言葉自体は知っていても、いざ自分や家族に介護が必要となったときに、まず何をどうすればいいのか?、どういう手続きが必要なのか?分からない方も多いのではないでしょうか。

 

ここでは知っておきたい基本となる介護保険とは?から、申請の手続き方法、介護サービスの利用までの流れをご紹介します。

 

1.介護保険とは?

2.介護保険料は誰がどのように納めているのか

3.介護保険のサービスを受けるには?

4.要介護度認定を受けるには? 申請方法から結果通知までの流れ

5.結果通知から介護サービス利用まで

6.自己負担を軽減する制度は?

 

 

 

1.介護保険とは?

介護保険は40歳以上の方が介護保険料を支払い、それをもとに介護を必要とする方が1割~2割の自己負担を支払って介護サービスを利用できるという、介護を社会全体で支えるしくみです。

 

社会保障のひとつ

国民の最低限度の生活を国が保障する制度を社会保障制度といいますが、日本の社会保障制度には大きく分けて社会保険、公的扶助、社会福祉の3つがあり、その中に介護保険が含まれます。

 

 ■ 社会保険・・・医療保険・介護保険・年金保険・雇用保険・労働者災害補償保険

        (保険料をあらかじめ納め、必要となったときに給付を受けられる制度

                             納められた保険料が主な財源)

 

 ■ 公的扶助・・・生活保護 (財源は租税、公費負担)

 

 ■ 社会福祉・・・児童福祉・高齢者福祉・障害者福祉・社会手当 (財源は租税、公費負担)

 

 

 

2.介護保険料は誰がどのように納めているのか

40歳になると、手続きの必要なく自動的に介護保険制度に強制加入となり、居住している市区町村(保険者)へ保険料を納めることになります。保険料を納めている40歳以上の方を被保険者といい、被保険者は第1号被保険者(65歳以上)第2号被保険者(45~64歳)に分けられます。

 

 ■ 第1号被保険者

   対  象 : 65歳以上

   納め方  : 年金からの天引きもしくは自分自身での支払いとなり、どちらになるかは年金の額により決

          まります。年金が年額18万以上の方は年金からの天引きとなり、18万未満の方は自分自身

          での支払いとなります。自分自身で支払う場合は、市区町村から送られてくる納付書で支払

          うか、口座振替のいずれかとなります。

   受給要件 : 介護が必要となった原因に関係なく、支援が必要と認定されれば介護サービスを受けられま

          す。

 

  ■ 第2号被保険者

   対  象 : 40歳~64歳の医療保険加入者

   納め方  : 加入している医療保険料(健康保険、国民健康保険など)と一緒に納めることとなります。

   受給要件 : 特定疾病が原因で支援が必要と認定された場合にのみ介護サービスが受けられます。

          特定疾病とは、加齢が原因とされる下記の16種類の疾病です。

 

                                ① がん(末期)

                                ② 関節リウマチ

                                ③ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

                                ④ 後縦靭帯骨化症

                                ⑤ 骨折を伴う骨粗しょう症

                                ⑥ 初老期における認知症

                                ⑦ 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

                                ⑧ 脊髄小脳変性症

                                ⑨ 脊柱管狭窄症

                                ⑩ 早老症

                                ⑪ 多系統萎縮症

                                ⑫ 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症

                                ⑬ 脳血管疾患

                                ⑭ 閉塞性動脈硬化症

                                ⑮ 慢性閉塞性肺疾患

                                ⑯ 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

          40歳~64歳の方はこの疾病が原因と認定されなければ介護サービスを受けることが

          できません。

 

 

 

3.介護保険のサービスを受けるには?

日常生活の中で自分一人では難しくなってきた動作があるなど、何か困ることが出てきたら介護保険のサービスの利用を検討しましょう。

 

介護保険のサービスを受けるためにはまず、市区町村に申請を行い、介護を必要とする状態であるかどうかを市区町村が認定する要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は介護が必要な度合いに応じて7段階(要支援1~2、要介護1~5)の要介護度に区分され、どこに区分されるかによって受けられる介護サービスの種類や量が変わってきます。それぞれの要介護度別の状態の目安は下記のとおりです。

 

          要支援1    日常生活の一部で何らかの介助が必要な状態

                           ・食事や排泄などはほとんど自分でできる。

                           ・入浴や掃除などの日常生活の一部に何らかの介助(見守り、手助け)が必要な場合が

          ある。

                           ・立ち上がりや片足での立位保持などの動作に何らかの支えが必要なことがある。

 

          要支援2    部分的な介護が必要(要介護1と同程度)だが、改善する可能性が高い状態

                           ・食事や排泄はほとんど自分で出来る。

                           ・入浴や衣服の着脱、掃除などに何らかの介助(見守り、手助け)が必要。

                           ・歩行や両足での立位保持などの動作が不安定で何らかの支えが必要なことがある。

 

          要介護1    部分的な介護が必要

                           ・食事や排泄はほとんど自分で出来る

                           ・入浴や衣服の着脱、掃除などに何らかの介助(見守り、手助け)が必要

                           ・ 歩行や両足での立位保持などの動作が不安定で何らかの支えが必要なことがある。      

                           ・行動障害や理解低下がみられることがある。

 

          要介護2    軽度の介護が必要

                           ・食事や排泄に何らかの介助が必要なことがある

                           ・入浴や衣服の着脱、掃除などに何らかの介助(見守り、手助け)が必要

                           ・歩行や両足での立位保持などの動作が自力では困難で何らかの支えが必要。

                           ・行動障害や理解の低下がみられることがある。

 

          要介護3    中度の介護が必要

                           ・食事や排泄に何らかの介助が必要

                           ・衣服の着脱や、入浴などが自分一人ではできない

                           ・歩行や両足での立位保持などの動作が自力ではできない。

                           ・いくつかの行動障害や全般的な理解の低下がみられることがある。

 

          要介護4    重度の介護が必要

                           ・食事に何らかの介助が必要で、排泄には全面的な介助が必要。

                           ・衣服の着脱、入浴などがほとんどできない

                           ・歩行や両足での立位保持などの動作が自力では出来ない

                           ・多くの行動障害や全般的な理解の低下がみられることがある。

 

          要介護5    最重度の介護が必要

                           ・食事や排泄がほとんどできない

                           ・衣服の着脱や掃除、入浴などがほとんどできない

                           ・歩行や両足での立位保持などの動作がほとんどできない

                           ・意思の伝達が難しい

 

要介護認定で要支援1~2、要介護1~5のいずれにも当てはまらない非該当(日常生活はほぼ自立している状態)と判断された場合は 、介護保険の対象外となりますが、市区町村で行っている介護予防・日常生活支援総合事業を利用できます。       

 

要介護度別の介護サービスの利用限度額(月額)は下記のとおりです。

 

       区分     利用限度額(月額)

     非該当      支給なし

     要支援1     50,030円 

     要支援2     104,730円

     要介護1     166,920円

     要介護2     196,160円

     要介護3     269,310円

     要介護4     308,060円

     要介護5     360,650円

 

自己負担額はこのうちの1割または2割となり、所得に応じて1割負担か2割負担かが決定します。 限度額を超えて介護サービスを利用した場合は、超過分は全額自己負担となります。    

 

 

 

4.要介護度認定を受けるには? 申請方法から結果通知までの流れ

要介護認定を受けるための申請から結果通知までの流れは下記のとおりです。

申請の前にまず相談だけしてみたいという場合は、お住まいの市区町村の介護保険課や地域包括支援センターの窓口もしくは電話で相談してみましょう。

 

(1)要介護認定の申請をする

ご本人またはご家族がご本人の居住する市区町村で申請を行います。(地域包括支援センターに申請の代行を依頼することもできます。)

 

申請窓口:市区町村の介護保険課

     介護保険担当窓口が不明な場合は総合案内で「要介護認定の申請をしたい」と申し出ましょう

 

必要なもの ・所定の申請書(申請窓口にあります。市区町村ホームページでダウンロードも可能です。)

      ・65歳以上の方は介護保険被保険者証

      ・45~64歳の方は健康保険の保険証

      ・マイナンバー制度導入により、申請書にマイナンバーを記載する欄もありますので、

       マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカード、通知カード、マイナンバーが記載された

       住民票の写し等)と身元確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等)もお持ち

       ください。          不明な場合はお住まいの市区町村へ問い合わせてみましょう。

 

  ※介護保険被保険者証は65歳以上(第1号被保険者)の方には全員に交付されています。65歳になった月

  (65歳の誕生日の前日の月)に交付されます。45~64歳(第2号被保険者)の方の場合は、既に要介護認

   定の申請を行った方と、被保険者証の交付を申請した方にのみ交付されています。そのため、45~64歳

   の方で介護保険被保険者証をお持ちでない場合は代わりに健康保険の保険証が必要となります。

 

  ※申請書には主治医の氏名(フルネーム)・病院名・所在地・電話番号を記入する欄があるので、かかりつ

   けの医師がいる場合は事前に確認しておきましょう。

 

申請の際に被保険者証はそのまま提出することになり、それと引き換えに介護保険資格者証が渡されます。認定が下りるまでの間に被保険者証が必要なときは介護保険資格者証を代わりに使用できます。提出した被保険者証は認定が下りると認定結果等が記載されて戻ってくるので、それと引き換えに介護保険資格者証を返却することになります。

 

(2)主治医意見書が作成される

市区町村から主治医に依頼がされ、主治医意見書が作成されます。主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受ける必要があります。

 

(3)認定調査を受ける

市区町村等の調査員が自宅を訪問し、心身の状態や生活環境などを確認するための認定調査を行います。施設に入所している場合は、施設に訪問します。

 

(4)一次判定が行われる

認定調査の結果や、主治医の意見書の項目がコンピューターに入力され、全国共通の認定基準に基づいて判定が行われます。

 

(5)二次判定が行われる

一次判定の結果や主治医の意見書などをもとに、専門家によって全国一律の判定基準に従って要介護度の判定が行われます。45~64歳(第2号被保険者)の方の場合、特定疾病に該当するかどうかもここで判定されます。

 

(6)市区町村により認定の決定が行われる

二次判定での結果にもとづき、市区町村は認定の決定を行います。

 

(7)認定結果の通知を受ける

市区町村から申請者に認定結果の通知書と被保険者証が届きます。申請から認定結果の通知までに要する日数は原則30日以内となります。認定結果は「要支援1・2」、「要介護1~5」、「非該当」に分かれます。

 

   要支援1・2 : 介護予防サービス、介護予防・生活支援サービス事業を利用できます。

   要介護1~5 : 介護サービスを利用できます。

   非該当    : 介護予防・日常生活支援総合事業を利用できます。

 

認定の有効期間は、新規認定の場合で6ヶ月です。ただし、市区町村が認める場合は3~12ヶ月まで短縮、延長が可能となります。介護サービスを利用し続けるためには、有効期間満了の60日前から満了までの間に更新の申請が必要です。更新の申請を行わずに有効期間が過ぎてしまった場合は、新規申請を行う必要があります。

 

要介護認定を受けてから有効期間満了までの間に心身の状態が著しく変わった場合は、有効期間内であっても認定の見直しを申請することができます。

 

 

 

5.結果通知から介護サービス利用まで

認定が下りて実際に介護サービスを利用するためにはまず、ケアプランを作成してもらう必要があります。ケアプランとは、ご本人やご家族の どのような生活を送りたいか という要望をもとに、その実現にむけてどのような介護サービスをいつ、どの程度利用するかを決める計画書です。要介護度に応じて利用できる介護サービスの種類と量が異なるので、それをもとに作成されます。ケアプランはご本人やご家族と相談しながら、ケアマネジャー等が作成します。ケアプランの作成にかかる費用は全額介護保険で負担されるので、自己負担がなく無料です。

 

(1)ケアプランの作成

要介護度によるケアプランの依頼先は下記のとおりです。

 

 ■ 要支援1・2:地域包括支援センターへ連絡し、ケアプラン作成の依頼をします。

           地域包括支援センターの職員がご本人やご家族と相談しながらケアプランを作成します。

 

 ■ 要介護1~5:居宅介護支援事業者に連絡し、ケアプラン作成の依頼をします。

           事業所のケアマネジャーがご本人やご家族と相談しながらケアプランを作成します。

           介護保険施設へ入所を希望する場合は、介護保険施設に直接連絡し、サービス内容や利用料

           について検討した上で入居の申し込みを行います。その後、施設のケアマネジャーがケアプ

           ランを作成します。

 

お住まいの地域にどのような事業所、施設があるかは、市区町村の窓口で一覧をもらえたり、厚生労働省、都道府県、市区町村の各ホームページ等で紹介されているので参考にしてみましょう。

 

(2)介護サービスの利用

作成されたケアプランに基づき、サービス提供事業者と契約を結び、介護サービスを利用します。

大きく分類すると次のような介護サービスを受けることができます。

 

   ・介護サービスの利用に関する相談、ケアプランの作成

   ・自宅で受けられる身体介護や家事援助等のサービス

   ・施設などに日帰りで出かけて受けられる介護サービス

   ・施設などで生活もしくは宿泊しながら、長期間または短期間受けられるサービス

   ・訪問、通い、宿泊を組み合わせて受けられるサービス

   ・福祉用具の利用に関するサービス

 

自己負担額は介護サービスにかかる費用の1割または2割となります(所得に応じて1割負担か2割負担かが決定します)。

 

 

 

6.自己負担を軽減する制度は?

自己負担が高額になったときに負担が軽減される制度があります。

 

(1)高額介護サービス費

同じ月に利用した介護サービスの1割もしくは2割の自己負担の合計金額が所定の負担限度額を超えると、超えた分が後から戻ってきます。負担限度額は所得によって異なります。同じ世帯内にサービス利用者が複数いる場合は、全員の自己負担を合計します。ただし福祉用具購入費や住宅改修費の自己負担分、利用限度額を超える自己負担分は対象外となります。

 

自己負担の限度額(月額)

 ■ 現役並み所得に相当する方がいる世帯の方・・・ 44,400円(世帯)

  同一世帯内に課税所得145万円以上の65歳以上の方がいる場合です。

  ただし、65歳以上の方の1人の場合でその方の収入が383万円未満もしくは、

  65歳以上の方が2人以上いる世帯でその収入の合計が520万円未満の場合は

  市区町村に申請することで自己負担限度額が 37,200円 になります。

 

 ■ 住民税課税世帯の方・・・ 37,200円(世帯)

  世帯内のどなたかが市区町村民税を課税されている場合が対象です。 

 

 ■ 世帯全員が住民税非課税で、前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間80万円を超える方等

                                                                                                                              ・・・ 24,600円(世帯)

 

 ■ 世帯全員が住民税非課税で、前年の合計所得金額と公的年金等収入額の合計が年間80万円以下の方等

                                                                      ・・・ 24,600円(世帯の場合)、15,000円(個人の場合)

 

 ■ 世帯全員が住民税非課税で、老齢福祉年金受給者の方等

                                                                      ・・・ 24,600円(世帯の場合)、15,000円(個人の場合)

 

 ■ 生活保護を受給している方等・・・ 15,000円

 

該当する方には自動的に市区町村から申請書が送られてきますので、申請書が届いたら必要事項を記入して市区町村へ提出すれば大丈夫です。

 

 

(2)高額医療・高額介護合算療養費制度

介護が必要な状態となると何かと医療費も掛かります。そこで、介護と医療の自己負担の合計金額が所定の自己負担限度額を超えたときに、申請すると超えた分が戻ってくる制度です。対象となるのは、介護保険と医療保険の両方で自己負担額がある世帯で、1年間(毎年8月から翌年7月まで)の介護費と医療費の自己負担の合計金額が限度額を超える場合です。合算できるのは世帯内の同じ医療保険に加入している方の自己負担額です。世帯内でも異なる医療保険に加入している家族は合算できません。

 

自己負担限度額は年齢や世帯の所得によって決まっています。

 

介護と医療の自己負担合算後の自己負担限度額(年額)

■70歳未満

 ・所得901万円超・・・・・・・・・・212万円

 ・所得600万円超~901万円以下・・・ 141万円

 ・所得210万円超~600万円以下・・・   67万円

 ・所得210万円以下・・・・・・・・・  60万円

 ・住民税非課税世帯・・・・・・・・・ 34万円

 

■70歳以上

 ・現役並み所得者(課税所得145万円以上の方等)・・・・・67万円

 ・一般(住民税課税世帯で現役並み所得者に該当しない方)・・56万円

 ・低所得者(住民税非課税世帯の方)・・・・・・・・・・・・31万円

 ・低所得者(住民税非課税世帯)で、所得が一定基準以下(年金収入額が80万円以下等)の方・・・19万円

 

こちらも該当する方には自動的に通知が届く場合がほとんどですが、申請方法は市区町村や加入している医療保険によって異なりますので、詳しくは市区町村と加入している医療保険の保険者へ問い合わせてみましょう。

 

 

 

まとめ

日常生活を送る上で自力では辛くなってきたことがあるなど、何か困ることが出てきたら介護保険の申請、介護サービスの利用を検討してみてください。介護保険のしおりのような、分かりやすくまとまった冊子が市区町村ごとに用意されていますので、まずはそれを貰ってみるだけでもいいですね。自己負担が軽減される制度や、市区町村が独自で行っている助成制度もありますので色々と活用して負担を軽くしましょう。

 

 

 

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